定年後のオーディオ遊び (スピーカー工房小林) Kobayashi Audio Play Room オーディオ好きの年寄日記
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2024年
4月14日 調子に乗って6CW5三結PPアンプも初段コンデンサーレス!&SuperSubに学ぶ。
4月8日 6R-P10PPアンプ増幅回路からのコンデンサー完全除去に成功。全域にわたり音がカッチリ!
4月5日 6R-P10PPアンプの入力―グリッド間コンデンサー除去して分かったこと
3月30日 6R-P10差動増幅位相反転1段PP無帰還アンプ調整法追記+ACアダプター→FTX電源に交換
3月26日 6R-P10を使った差動増幅位相反転1段プッシュプル無帰還アンプ 完成。音楽の魂を感じる音
3月3日 ひなまつり、今巷で人気の北日本音響16cmフルレンジをRBHバックロードホーンに入れてみた!
3月2日 6RA6の1段実験アンプや1段プッシュプルアンプの増幅特性を検証
2月15日 寺島靖国のfor Jazz Audio Fans only Vol.15を聴いた。ソースもAudio装置の一部であることを実感
1月31日 1月最後にEL803シングル無帰還1段アンプ。DC-DCコンバーター電源で2.2Wx2
1月28日 次に雛壇に乗ったのは6R-P10シングル無帰還1段アンプ。いきもの地球紀行サウンドトラックⅢで泣いた
1月27日 久しぶりに6Z-P1無帰還1段シングルアンプを聴いてみた。休日をゆったり過ごすにはもってこい
1月21日 なぜトランジスタアンプに回帰したか考察してみた。きっかけはPD-T06改だった
1月10日 RBH-2に12cmフルレンジ アイデンAF-50Sをつけてみた。バックロードのマジック!
1月5日 ツィーターのカットオフ周波数調整、パワーアンプHarman/Kardon Citation22の調整
2023年
12月28日 ウーファーをJPA JSW-1545に交換してみた。バスレフのように重たい低音。音質の違いを楽しんだ
12月26日 ハイファイセットで泣いた
12月17日 ソニー CDプレーヤー CDP-337ESD 改造を検討、あと、必要のない差動増幅、やめようと思う
11月10日 ソニーのパワーアンプ TA-N330ES降臨
10月31日~11月3日 PD-T06改良型はピアノソロ再生が得意、レコード再生に近い音質
10月27日 底抜けのエアリーな低音と滑らかな中高音で勝負!
10月26日 PD-T06改良型⇒MOGAMI3368ケーブル⇒パッシブプリ⇒6EW7シングル⇒アルテック!
10月21日 LTspiceで分かったオペアンプ2段目-入力にぶら下がるフィルムコンデンサ―交換、絶大な効果!
10月15日 DAコンバーター FX-05J改造、明らかに全音域での解像度が増した。ラインケーブルの音質
10月12日 PD-T06の光出力をFX-05Jにぶち込んで聴いてみた。TechicsのSL-P770を導入した
10月7日 PD-T06のアナログ回路、LTspiceで解析してみた。やはり高域は持ち上げられている模様
9月30日 PD-T06の音質を詳細にチエック、さようなら
9月25日 PD-T06アナログ回路のNPコンデンサー2種x2、オペアンプの電源安定用電解コン2個x2、オペアンプ2個を交換!音は ?
9月22日 PD-T06のアナログ回路のカップリングコンデンサーの容量と最終増幅段の抵抗2本の値がサービスマニュアルと違う。全部検証して正しいパーツに差し替える決心をする!
9月20日 パイオニアPD-T06は調整が終わったのでソニーCDP-337ESDと聴き比べてみた。あまりの音質の違いに唖然・・・・
9月16日 19日 パイオニアPD-Tシリーズの音質を確かめたくて以前持っていたPD-T09の直系弟分のPD-T06をヤフオクで入手、調整で失敗!されど懲りずにOFF Mallで極上のジャンクを購入!、PD-717のレンズ移植で完動品に!さらに調整失敗品も復活!なので2台持ちに!音飛び解消の方法(調整方法)を書いてみた
9月4日 PD-717のIRリモコンセンサー交換、リモコン操作できるようになって感動!おまけにリモコン入手
9月3日 パイオニアPD-2000トラッキング調整ほぼ終了。輸入盤の再生もOK!オーディオ回路の電解コンデンサー総交換は要注意!
8月16日 ⇒CDプレーヤーパイオニアPD-2000復活のために買ったジャンクPD-2000に死んだPD-2000のピックアップレンズを移植したら、ゾンビの如く蘇った!
8月15日 ⇒CDプレーヤーパイオニアPD-2000ご臨終、2個一狙ったジャンクも空振り!お口直しで買ったアドバンストMASHがすごい!
7月20日 ⇒SX3のネットワークを設計ソフトとLTspiceで計算。やっぱり改良型の方がいい。音も!
7月11日 →Victor初代SX-3のネットワーク再改造、SX-7Ⅱの音質に迫る? What's new?に掲載
7月8日 →久しぶりにWhat's new?とシステム紹介に書き込んだ。6RA6プッシュプルアンプの電流バランスの件
7月7日 →負帰還(NFB)に付いて
7月1日 →久しぶりにアンプを手掛けた、6CW5全段差動増幅プッシュプルアンプの出力段の電流バランスをとれるように改造、音質の代わりぶりに驚いた!
6月6日 →NOSで入手したレイセオン6EW7、2本の内1本が電流がほとんど流れない、ヤフオク出品者に問い合わせたら驚きの情報を頂いた!
6月4日 →5月27日に塩尻市のレザンホールでJapanJazzコンサートに行ってきた。 なぜ日本のJazzは話題にならないんだろう?寺島さんのJazzBarセレクションとは比べ物にならないほど感動した
5月10日 →以前作った6EW7シングルが恋しくて、スピーカーケーブルにWE14GA使って聴いてみた。12日→WE16GAを聴いてみたら、やっぱりダメだった~!
4月13日 →再びEL34に差し替え、バリバリPPバランスとってグロー放電!
3月19日 →7581AでP1P2電流バランスとって雄大な素晴らしい音質へ! 露台のひまわりの種、夜に食べているのはテンちゃんでした!blogに掲載
3月10日 →6L6GC復活!
3月8日 →EL34全段差動増幅プッシュプルアンプ完成!
3月5日 →差動増幅で製作するための定電流源ICの使い方を工夫してみた
2月18日 6EW7シングルアンプ完成。弦の響きが素晴らしい(後述)
2024年 2月
大分日が長くなってきた。夕方散歩に出て面白い写真が撮れた。短い脚がなが~くなった!
12月
あと少しで今年も終わり。仕事が終わったので夕方の散歩に出かけた。遠くにスキー場の明かり。冬本番も間近。
10月
今年は雨が少なくてキノコが出ない。と思って毎年リコボウが出る道を何気に歩いていたら、でたあ~!リコボウと見慣れないキノコ
キノコの辞典で調べたらクギタケに似ている。ネットで調べたらやっぱりクギタケ。味噌汁に入れるとうまいらしい。味噌汁にしてみたら御覧の通り、まるで紫シメジのように赤紫色に変色。これって毒じゃない?と思いつつ、やっぱりネットで検索すると、クギタケは煮ると赤紫になるそうな。安心していただきました。普通に食キノコです。
ちなみにクギタケはヌメリイグチなどの菌糸に寄生するキノコとのことで、ヌメリイグチが生えるあたりに出ていたのも納得。
9月
八ヶ岳では稲が色づいて野菜は収穫の時期になっている。
これより以前の近況はブログ に掲載。
中央道諏訪南インターやJR中央線駅から車で10分弱でとても交通の便がいいのに2024年3月で坪単価2.2万円なんて、信じられない。私が25年前に家を建てた時には坪単価6.5万円だったので3分の1になっている。
原村の土地価格
冒頭の近況報告はブログにまとめました。
2024年4月14日
今週末はとても天気が良くて、外に出ている時間が多かった。でも、差動増幅位相反転回路の6R-P10プッシュプルのコンデンサーレス化での大成功を見て、ひょっとして今まで作ってきた6CW5やEL34の差動増幅PPアンプも同じで行けるんじゃないか?と思い立った。それから以前6EW7のプッシュプル化をネットで調べていて素晴らしい回路を見つけていた。6EM7を使ったPPアンプ SunValleyのSuper Subである。この回路は私が今まで組んできた差動増幅位相反転回路を使っている。ただし最終段は普通のプッシュプル回路。学ぶべきは、P2側の初段のグリッド入力である。P1側の初段プレートからカップリングコンデンサーを介してP1側出力段のグリッドに入力するのであるが、P1側の出力段のグリッド抵抗を240kΩと5.6KΩを直列にして接地、これら抵抗の中点からP2側初段グリッドにNFBをかけている。今回これもまねた。もちろん初段グリッドのコンデンサーは排除している。カソード電流は78mA(39mA/本)に設定、電流バランスをとってサイン波、矩形波を観察、矩形波の先頭にはリンギングは全く見られず、しかも10KHz矩形波は以前は大分崩れていたが、今回調整後ではとてもくっきりとしている。すばらしい。
音質は以前の硬い音質とは打って変わり、柔らかで伸びやかな音質。ど こまでも伸びる低音は6R-P10に通じる。やっぱり音質は初段でかなりの部分が決まる。
2024年4月8日
前回はP2側のグリッドは絶対コンデンサーを介して接地するんだ!という決意を持っていたが、はて、待てよ。これってP2側の第一グリッドは何もせずにそのまま接地すればいいんじゃない?と思いついた。今まで発振とか動作の不安定化を恐れて既存の回路に似せようと一生懸命だったが、動作原理を考えれば考えるほど、単純にできるような気がしてきた。P1側は信号が直接第1グリッドに入力される。ただし、信号の振幅を損なうことが無いよう、入力側のインピーダンスとの兼ね合いでグリッド抵抗の値が決まって自己バイアスがかかるように挿入されている。一方P2側の第1グリッドはそもそも接地信号を入れるためにグリッド抵抗は必要ない。ならば当然パスコンもいらない、となる。このように回路を手直しして回路電圧チェック。全く問題ない。カソード電位はおよそ4V掛かっている。サイン波を入れても前と同じ波形が出力されている。ノイズもない。ということでスピーカーを繋いで音出し。まず低音の出方が変わった。前は空間に漂う低音で、あまりダンピングが効いていない感じがしたが、改良後は漂う低音はそのままに、張りのある低音になった。中高音もドロッとしたところがなくなり、張りのあるいい感じの音に変貌した。前もよかったのだが、もっと高級機の音に近づいた気がする。すごいアンプになった。まさしくSimple is best. である。入力信号でP1側の球のG1電位が変化→カソード電流が変化、接地電流が一定なので電位が変化→P2側の球のカソードが共通なので同じ電位に変化→P2側のG1は接地電位なのでバイアスがP1側の電位(信号電位)の逆電位に変化→プッシュプル動作というわけだ。プレート間は出力トランスでつながれていて信号が2本の真空管でプッシュプルで増幅されて流れて、2次側のコイルにつながれたスピーカーを駆動する。この回路では信号が電源に流れない。本当にシンプルである。
2024年4月5日
4月になったがあまり暖かくならず、おまけにお空はどんより、うすら寒い。気を取り直してやっとまともに調整できた6R-P10PPアンプの回路を検討した。特に入力ーG1間のバイパスコンデンサー。P1側のG1、P2側のG1どちらもパスコンを入れてある。シングルアンプでパスコンを取り除いても問題ないことを確認してあるので、プッシュプルでも同じだと思い、P1側とP2側どちらも取り除いて、P1側は入力に直結した。矩形波を入れるとリンギングがほとんどなくなったことが分かった。むしろ少しへっこんでいるくらい。で、音出ししてみると、波形はきれいになったが元気がない。なんだかしぼんだ音質になってしまった。はて、どうしたんだろう?よく考えると、原因が見えてきた。P1側のコンデンサーを取り除いてもいいが、P2側はG1をコンデンサーを介して接地する必要があるのである。なぜか。それはもしコンデンサーで接地しないとP2側のG1はグリッド抵抗を介して接地されることになる。となると、P2のG1はグリッド抵抗(470KΩ)で減衰して接地されることになる。一方P1側には生の信号が減衰なくG1に入力されることになる。つまりP1側とP2側で信号のバランスが取れないことになる。P1のグリッドに入る信号は接地されたP2のグリッドの電位を基準に伝えられるため、このバランスはとても大切だ。それでP2側のG1のグリッド抵抗に並列でパスコンを入れ直した。これで矩形波を確認。見事にリンギングが戻っているが、10KHzの矩形波がくっきりスパッと再生されている。その頭に鋭いリンギングが載っている。でもこれだけ鋭いと可聴音域からかけ離れたところなのでまず聴こえないだろう。ちなみに矩形波だと8Ω負荷で波高値±6V出ていて、矩形波は波高値と実効値が同じと考えて4.5W出ていることになる。ということでついに音出し。生き生きとした音像が戻ってきた。こんなちっぽけなことでも音色は左右されてしまう。一つ一つ確認しながら進めることは大切だ。
山本剛トリオ midnight sugarのゴリゴリ押し出しの強いピアノ、ベース、ドラムスがずしんずしんと響き渡る!4.5Wx2を実感できた。
それから実験してみたが、P2側グリッドを接地するコンデンサーの容量である。ハイパスフィルターのカットオフ周波数の計算式f=159/RCに当てはめれば、0.1μFもあれば十分だと思い、オリジナルのニチコンのチェルシータイプ0.68μF→高級なInfini CAPの0.1μFにしてみたら、空気感が出なくなってしまった。それならばと思い、以前FX-Audioのプリアンプから外した1μF250Vの空色のコンデンサーを取り付けてみた。したところ、JustFit!別次元の音場を再現してくれている。聴き比べて容量は選ぶべきだ。
2024年3月30日
追記:調整中に電圧が突然変化したのは使っていたテスターに問題があることが分かった。1000~3000円台のお安いテスターを何台か試したが、測定電圧が不安定。オシロで出力を測定したが、発振もしていない。アドバンテストのデジタルマルチメーターで測ったら問題なく測定出来てすぐに調整できた。あと、発振をさせないために入力端子をショートさせて調整していたが、入力端子を開放したらカソード電流が大きく変化することが分かった。入力コンデンサーを入れてあるのでなぜ入力端子の状態が直流的に影響があるのかわからない。実際の使用状態で調整したいため、入力端子に発振器を繋いだ状態で電流値を調整したらペアバランスも含めてすべてうまく調整できたことを記しておく。
再調整が終わって6R-P10差動増幅位相反転1段プッシュプル無帰還アンプの自然な音質を満喫していたが、ACアダプター(12V5A)がけっこう発熱するので音楽鑑賞に没頭できない。そこで以前にも試したパソコン用の電源を流用する方法を試 してみた。前回は突然起動できなくなってATX電源を廃棄したが、その原因が分かった。ATX電源から電源ユニットにDCジャックを介して接続していたが、プラグ側の配線がうまくなくて、撚線の数本がアース側に接触していた。またジャックの抜き差しがきつくてプラグに負荷がかかって金具がぐらぐらになっていた。それで今回はDCジャックを使わない。用いる電源もスリムにしたいためにFTX電源(スリムタイプPC用)にした。用いるコネクターはCPU補助電源用の田の字コネクタ。これにDC電源ユニットから配線を出してメスコネクタを介してFTX電源に接続した。電源容量は12V18Aで余裕しゃくしゃく。そのため発熱も全く感じられない。電源容量が増したためか、音の厚みが格段に増した。ベースの音で部屋が震え上がる! ForJazzAudio Fans only Vol.15の13曲目、低音のお風呂にどっぷり、気持ちいい~。ちなみにスピーカーのウーファーはアルテック416-8Cに戻している。やっぱりアルテック、いいわあ~。
このアンプ、実は作ったばっかりは調整もできないほどのガラクタだったが、根気よく調整して蘇り、今では今まで作ったアンプの中で一番魅力的な音で鳴っている。まるでパイオニアのCDプレーヤーPD-T06改みたい。
2024年3月26日
あっという間に3月も下旬。今年の3月は大雪で春などみじんも感じなかった。しかも昨日から大雨。もう心は沈み切っている。楽しみは室内電気工作に決まり!で、前にも少し触れた6R-P10。1段シングルで鳴らすとこれがまた味わい深い。入力をカップリングコンデンサー抜きで第一グリッドに直接ぶち込んで聴くと、スカっと晴れ渡った音質になった。ただ、オシロで正弦波を観察すると、出力が大きいと非線形が目立った。また、矩形波を入れると、リンギングが大きく観測された。それで今回、6RA61段PPアンプを改造(6RA6ではゲインが小さすぎた)して6R-P10 で動作するようにした。結果は非線形性が改善され、最大出力あたりでも上下対称な波形再現となった。またシングルで大きかった矩形波で見られたリンギングもとても小さくなっている。プッシュプルバランスをとるために手持ちの管を差し替えて何とかバランスが取れた。出力は1.5Wほどであった。シングルで1.1W程度なので、線形性やリンギング改善の意味合いが強い。リンギングを改善するためにNFBに帯域調整用のコンデンサーを入れるのが常とう手段だが、わざわざ帯域を制限するなんてやりたくない。プッシュプルで改善できるなら、十分ありだと思う。
1段なのに実用的な感度がうれしい。音質はとても滑らか。シングルの方がゴリゴリ押し出す感じがしてよかったかな。
気を取り直して調整し直し。まず電源電圧。DC-DCコンバーター電源なので、+Bが170Vに再調整。なぜか電圧が不安定。何度もやり直して、安定したらブリーダー抵抗(DC-DCコンバーターなので本来いらないはずだが、はずすととても不安定になる)各チャンネル220Ωに掛かる電圧がカソード電流65mAになるように定電流源ICの電流調整VRを回して調整。それが済んだら出力トランスのP1-P2管電圧がP1側が-240mV程度になるように手持ちの真空管を差し替えてペアリング。特性の近いものがいいと思ったらとんでもなかった。動作点(Vp=165V,Vsg=170V,Vg=4V) での電流値Ipが5mA程度差があるものを、P1側に電流が流れやすい方を挿してやると丁度P1側が-240mV程度になった。このような調整は出力トランス東栄変成器OPT-5PのP1-B抵抗がB-P2抵抗よりも8Ωほど大きいためである。真空管のペアバランスをとるとプレート電圧、カソード電流値が変わるため、再び全部再調整でとても手間がかかる。
すべて調整が終わって(5時間くらいかかった、疲れたあ~!)、山本剛トリオのMisty for Direct cuttingのMidnight Shugar聴いた。シングルで聴くより洗練された漂うような音になった。低音の力強さが加わった。調整前は少しドローンと音だったが、調整により一本筋が通った音質になった。調整はアンプに魂を入れる。
2024年3月3日
YouTubeで宮甚商店さんとか、スピーカーけんちゃんの動画をよく見ている。どうも北日本音響の16cmがとても良い音のようで、興味をそそられた。Amazonで買えるようなので毎日ウォッチしていたら2月29日から買えるようになって早速ポチリ。RBHに入れてみた。
以前はフォステクスのFF165WKを入れて聴いていたが、どうも低音ばかり出てバランスが悪かった。北日本16cmだとちゃんと中高音が張り出してきて、低音とのバランスがとれている。とてもフルレンジらしい音質であることが分かった。低音は38cmシステムに比べるまでもないが、全体の音のまとまりでは十分ありだと思う。なお、還暦過ぎた私の耳ではツィーターを追加する必要は全く感じなかった。ニアフィールドで聴くと、ボーカルがとても生々しく、耳元で歌ってくれているよう。定位も抜群、ど真ん中!ドストライクだ!これで一本送料込みで3800円ならコレクションするに値する。ちなみに3月3日時点でこのユニットはアマゾンで売り切れている。
さらにRBHのホーンの中の山型スポンジ吸音材の枚数と配置を調整したところ、かなり低い音まで出るようになり、ジャズベースが楽しめるようになった。38cmシステムとは異なる柔らかな臨場感のある低音を楽しめる。
2024年3月2日
EL803シングル1段アンプたちがとても滑らかな音質だったので、引き続き今まで作ったアンプの増幅特性を検証しつつ雛壇に上げて鑑賞している。今日は今まで作ったアンプの素性を測定してみた。6RA6は特性表によると5極管並みに高感度に見えたので、2段で構成したアンプを1段に作り替えたのだが、アンプとしての感度が低く、オシロで波形を観測すると波形が非線形でよろしくないことが分かった。それで6FQ7を初段とする2段に戻した。ただ戻すのは面白くないので、初段の内部抵抗が7KΩ程度なので負荷抵抗を5倍ほどの36KΩ、カソード抵抗を2K→1KΩに変更し電流2→4mAとして、より内部抵抗の低い動作領域で増幅するようにした。出力は1KHzサイン波の形が保たれるピーク電圧^2/16=1.7Wx2であった。
音質はとても深い澄み切った音質である。EL803とほとんど区別がつかない。でも聴き込むと、内部抵抗の低い3極管らしく、低音が重いことが分かる。ずっしりしている。初段管の回路定数見直しも効いているかもしれない。
6RA6の1段プッシュプルアンプの特性も測定したが、芳しくない。プッシュプルなのに出力が2Wもない。こちらは球を6R-P10に差し替えて1段プッシュプルにしたい。6R-P10のシングル1段アンプは聴感上はよろしかったが、サイン波形を観測すると非線形性が目立つ。この非線形性を改善するにはプッシュプルが一番なので、6RA6プッシュプルを改造して6R-P10に挿げ替えるのが一番だ。ちゃんと感度も備えた1段プッシュプルアンプ、楽しみだ。
2024年2月15日
先週のドカ雪が今週の暖かさで大分融けて屋根に積もった残雪もズルっとずれ落ち、なんだかとても春らしくなってきた。自分の装置が落ち着くところに落ち着いたので、そろそろ新しい音源を欲しくなり、アマゾンで探したところfor Jazz Audio Fans onlyシリーズが16まで出ていることが分かった。16はまだ値落ちしていないので、15を購入した。ちなみに1~14(6以外)はすべて持っている。落ち着いたCDプレーヤーはPD-T06改、アンプはとりあえず真空管EL803シングル 1段アンプ、スピーカーはJSW-1545+FD-100+AH501
いや~、このCDはすごい!今までのJazzFanシリーズと比べて格段に音質がいい!びっくりした。くっきりはっきり、音場の広がり、低音のお風呂の深さよ!とどめは家内の言葉、本当にいい音だね、と。
YouTubeで日本オーディオ協会さんが空気録音でアンプの聴き比べやっていて、ヘッドホンで聴いてね!とあって、それに従って パソコン⇒KORGのDS-DAC-10⇒ 自分のヘッドホン(AKG240STUDIO)で聴いてみたがあまりにひどい空気録音でげんなりした。そこで流していた山本剛トリオの「MISTY for Direct cutting」CD版を入手、YouTubeでしょぼかった演奏が私のシステムで素晴らしい音で鳴ってくれた。いや~、山本剛トリオいいわあ
あと、MISTYを見つけた時に気になるCDがあって、買ってみた。山本剛トリオ「A SHADE OF BLUE」
2021年五反田文化センター音楽ホール(250人収容)での演奏録音とのこと。録音がすごく自然。楽器がどこで鳴っているのか手に取るようにわかる。こじんまりしたホールでの響きや空気感がそのまま録音されている。昨年のレザンホール中ホール(401人収容)での演奏よりも響きのまとまりが良く感じる。いい感じのホールで生演奏を聴いている錯覚に陥る。調べてみたらホールの広さの違いもあるけど、この音楽ホールは木質の壁面である一方、レザンホールは石壁つくりとのことで、この辺りも響きの違いになっているかもしれない。
2024年1月31日
1段アンプを一通り聴いてみたくて、最後の雛壇にはテレフンケンのEL803アンプを聴いてみた。この真空管は動作電圧が低く、Vp=200V、Vsg=200Vで出力実測2.2W出る。しかも1段で。とても高感度な球である。一番いい点は、この球の直線性の良さである。バイアス電圧を変化させると変化量に応じて直線的に電流値が変化する。とても優秀な定電流源真空管なのである。実際、最大出力までサイン波波形が崩れない。音質は元気なあけっぴろげな音である。特に音量を上げるとすごい。ブライアンブロンバーグの「WOOD2」を聴いたらもう、ぶっ飛ばされたあ~。こんな簡単な回路で???やっぱり「Simple is best.」なのか。
2024年1月28日
以前作った真空管アンプの音質を再確認するために、今日は6R-P10無帰還1段アンプを聴いてみた。 とても素直で滑らか。6Z-P1よりも帯域が広いことが分かる。ダンピングもいい。
職場の方が「ちいかわ」についてチャットで紹介していて、動画で検索して見たら、とてもほっこりするアニメで、ちいかわとハチワレがたまたま懐かしい歌を歌っていた。それが「ビリーブ」。CDを持っていたのを思い出して(いきもの地球紀行サウンドトラックⅢ)、早速聴いてみた。だめだ、また泣いてしまった。ウクライナへのロシア侵攻、パレスチナへのイスラエル侵攻に続いて今回の能登半島地震が走馬灯のように頭を駆け巡り、自然に涙が噴き出してこぼれ落ちてしまう。なんで幸せに生きることを当たり前にできないのか。人間の愚かさ、無力さを思い、うなだれてしまう。でも、音楽は素晴らしい。動物たちのように当たり前に幸せを求めて普通に生きていく、そんな気持ちにさせてくれる。そんな音楽をありのままに伝えてくれるシステムを、私は造りたい。
能登半島地震については、自分もその揺れを体験し、運が悪ければ自分も被災していたかもしれない、だったら、被災した方に少しでも支援したいと思い、自分の懐に痛みを感じる(被災した方々の痛みには遠く及ばないと思うが)程度の義捐金を送った。少しでも被災地の方々が楽に生きられますようにと。
2024年1月27日
トランジスタアンプばかり聴いていて、少し息抜きをしたくなって、真空管アンプってどんな音だったっけ?と思い、一番シンプルな6Z-P1無帰還1段アンプを引っ張り出してきた 。美しいガラス工芸品を思わせるシルエット。おひさまの光を透かしてとても美しい。ホントひさしぶりに火を入れた。つないだプレーヤーはPD-T06改、スピーカーはすっかり定着したJSW-1545+FD100。
落ち着いたゆったりとした音質。低音から高音まで全く癖がない。少しナローレンジなところがいい。大好きなハイファイブレンドもヒステリックにならず、ほんとすばらしい。ずっと聴いていられる。
2024年1月21日
昨日から今朝にかけて雪だったが、今はかなりの「ザーザー降り」。折角積もった雪がかなり解けた。散歩にも出られないので手持ちのアンプで最近聞いていなかったCECのAMP5300Rを引っ張り出してきて雛壇に上げてみた。
以前にも紹介したが、無帰還A級120Wx2で定価12万円とのこと。癖のない鳴り方。で、今回は以前修理改良したCDプレーヤーのパイオニアPD-T06改を繋ぎ、スピーカーにはJPAのウーファーJSW-1545、ワイドレンジツィーターはフォステクスのFD-100&ホーンはコーラルAH-501で聴いてみた。音全体に滑らかに澄み渡っている。その前に聴いていたCitation22とは明らかに異なり、音がくっきりなめらかである。A級とはこういう音なのか、と思わせる。でも今までなんで気が付かなかったんだろう。以前と違う点は一つ。CDプレーヤーだ。以前は古いマルチビットばかり聴いていた。ひとつ、マランツのDAC7を積んだCD-72aは飛び抜けてひどい音であることは分かっていたが。思うにやっぱり私の耳はマルチビットのCDプレーヤーの音に慣れすぎていた。マルチビットのささくれた音を真空管アンプで丸めて、「ああ、いい音だな」と聴いていたんだ。そんな真空管システムの中でPD-T06を聴いたもんだから、全然メリハリ無くてダメじゃん、とレッテルを貼ってしまったんだ。でもPD-T06にはほかのマルチビットにはない特徴が2つあった。一つは超低音の音圧が明らかに高い。2つ目は音が滑らかなこと。この2点は捨てがたく、ピックアップ調整、回路の改良まで行うことになった。で、PD-T06改となって、トランジスタアンプと組み合わせたからさあ大変!スタンダードがひっくり返ってしまった。マルチビットCDプレーヤーと組み合わせるとギスギストゲトゲだったトランジスタアンプたちが、PD-T06改と組み合わせたら、滑らかに、透き通って歌いだしたんだ。CDプレーヤーがこんなに奥深いものだとは思わなかった。でも、今、気が付いてしまった。トランジスターアンプはすばらしいと。 なんにしても、最適化は必要なんだ。
2024年1月10日
ウーファーをJSW-1545に換えて聴いていたら、よく似たユニットを持っていたなあ、そうだ!アイデンのAF-50Sがあったんだ。カビ生えているんじゃないかな?で、二階のロフトから引っ張り出してみた。案の定、エッジに白いカビがうっすら生えていた。綿棒にアルコールをつけて拭き上げて事なきを得た。またバックロード箱に入れて聴いてみたいなあ、と思ってずっとそのままになっていた。しまってあるRBH-2にアダプタを作ってつけることもできる。ただ、RBH-2は16cmフルレンジ用(コーラルFLAT6-Ⅱ用)なので空気室が広い。詰め物をすればスロートに音圧がかかって低音が出るんじゃないかと、早速アダプタをイタヤカエデ合板の端材で作って装着してみた。
空気室に何も入れないとほとんど低音が出ない。そこで発泡スチロールで空気室を満たし、スロートも少し狭めてみたところ、結構バランスが取れて低音も出るようになった。特筆すべきは40~30Hz辺りの低音がちゃんと出る点である。最低共振周波数が65Hzなのでバスレフなら65Hz辺りで再生終了なのだが。12cmスピーカーから重低音、結構愉快である。それにもまして中高音のきれいさよ。かつてクライスラーのマルチウェイスピーカーのスコーカーにアイデンの12cmユニットが使われていた理由がよくわかる。RBH-2に16cmフルレンジを装着すると低音は自然に出るのだが、中高音の張りが今一歩。それでRBH-2は仕舞い込んでいたのだが、AF-50Sでよみがえったようだ。ただし、そこのホーン開口から中音が結構漏れるので、吸音のためにタオルや座布団を敷いてある。不要な音を出さないようにするには、空気室の詰め物をちゃんとしたもの(例えば鉛の球や砂を布袋に入れたもの)に換えたり、ホーンの内部のダンプをもっとしっかりしたものにすることなどが考えられる。たまにはこういった刺激も必要だ。頭を使うから。
2024年1月5日
あっという間に年が明け、5日になってしまった。ウーファーをJSW-1545に換えて気が付いた。こちらの方が高音が出る。再生周波数が30~2500Hzとのこと。ネットワークのクロスを1500Hzに設定してあるが、以前使っていたアルテック416-8Cでは1600Hzまでとのことで、この辺りでは音圧がかなり低下していたと思われる。それでアルテック向けにクロスを低音側、具体的には1200Hz(A7のクロス周波数のひとつ)まで下げてみた。416-8Cに換えてみないと滑らかなつながりにはならないとは思うが、明らかに中高音の張りが出た。
それから、眠っていたパワーアンプ、Harman/KardonのCitation22(定価220000円)を引っ張り出してきて、ソニーのTA-N330ES(定価44800円)と聴き比べてみた。
価格差を実感した。Citation22の音質は以前紹介したが、改めて聴いてみると中実、中身が詰まった音。カーンと突き刺さる中高音。重い張り詰めた低音を再生する。ただ、電源をON-OFFするときに、ボッと音がするので、ひょっとしてDCバランスが崩れているのかもしれないと思い、ネットでサービスマニュアルを入手。調整してみた。比較的わかりやすく。ほぼ完ぺきに調整できた。ついでにアイドリング電流を調整してみた。少し回路を組まなければならないが、トライしてみた。Rchは調整範囲内に納まったが、LchはVR調整外であり、どこかおかしい。でもパワーメーターや音質でおかしなところが無いので、とりあえずこのまま聴くこととする。サービスマニュアルには回路内の電圧まで記載されているので、会社を辞めたら測定して、必要であれば部品交換などしてみたい。
あと、回路図を見ていて、なぜCitation22は4Ω負荷と8Ω負荷で出力が同じ200Wを確保できるのか分かった。背面に電源トランス2次巻き線の切り替えスイッチがあって、切り替えることで8Ω負荷では電源トランス2次側の電圧を高くして出力を200W確保するのである。なるほど。でも6Ω負荷の場合はどうすればいいんだろう?
12月28日
ウーファーは鳴らしているうちに固定ネジ周りが緩んでくるので、アルテック416-8Cのバッフル取り付け状態を確認するべくバッフルを取り外したついでに、以前使っていたJPAのJSW-1545+バッフルに取り替えて聴いてみた。アルテックでは20Hz辺りまで素直に伸びていて低音の空気感がきれいに再生されるのだが、JSWでは再生限界30Hz辺りまでかなりの音圧で再生してくれて、低音が重い。バスレフに近い音の出方である。そこで、ネットを張った開口部に耳を近づけてみて驚いた。なんと、この開口部から40~30Hz程度の重低音が輻射されていることが分かった。そう、この開口部はJSW-1545のコーン紙と共振している。正真正銘のバスレフ動作である。JSW-1545はfoが30Hzであり、バスレフはこの辺りで共振しているはずである。30Hz辺りでしっかりバスレフ動作をしているスピーカーシステムを聴いたことが無かったが、30Hz辺りで動作するバスレフは、はっきり言って素晴らしいと思う。空気感をしっかり増幅してくれるからだ。一方小口径ウーファーではfoが45Hz以上のものが多く、このような高い音で共振すると耳につくため、はっきり言って耳障りなボンツキとなる。いっそバスレフにしない方が良いものが多い。 アルテック416-8Cを取り付けた場合には単なる空気抜きの穴となり、開放型の音質である。どちらも特徴があって面白い。
12月26日
久しぶりにハイファイセットのハイファイブレンドパート2を聴きたくなった。昔はレコードでこればかり聴いていたので擦り切れてしまい、歪っぽい音になっている。それでヤフオクでCD版を落札。届いたので早速PD-T06改⇒TA-N330ES⇒アルテックシステムで聴いてみた。レコードでは再生できなくなってしまった透明度の高い、滑らかなボーカル。昔が思い出され、思わず涙ぐんでしまった。このシステムで聴くと、超低音まで自然に出るので低音の魔法のじゅうたんに乗って空中に浮かんで音楽に浸れる。
ハイファイセットっていいんだよなあ。それで赤い鳥、紙風船、山本潤子で検索して8枚ばかり購入。山本潤子さんの2012年リリースの
GOLDEN・BEST~翼をください~は自分の記憶の中にある定番の歌い方ではなく、年月を経て熟成した山本さんのアレンジの歌い方。これは素晴らしく、深く感動した。またまた大泣きしてしまった。音楽っていいなあ。しあわせだとおもう。
12月17日
早いものでもう師走も半ば。昨日まで暖かかったが、今日は午後になるとバケツの水が氷るほど寒くなってきた。
最近はほぼフィックスしたPD-T06改⇒TA-N330ESでCDを聴いている。比較試聴の中で、ソニーのCDP-337ESDの音質があまりよくないことが気になっていた。一度は手放すことも考えたが、DACがフィリップスのTDA1541x2であるので、その良さを再生したいと考えた。回路図を探して観たところ、アナログ回路はほぼPD-T06~T09と同じであることが分かり、オペアンプNJM5532DDをNJM2114DDに変更できそうである。さらに音質が平面的である原因を探っていきたい。
それから、真空管アンプ、どうしようか真剣に考えている。なぜか。それは、プッシュプルアンプをすべて差動増幅化してしまったことにより、EL34、6CW5のプッシュプルアンプでは、全く真空管の音質が消えてしまったからだ。優等生過ぎる。EL34だろうが6L6GCだろうが6L6GTだろうが硬い音質。プッシュプル電力増幅段のそれぞれのユニットのカソードをアースに落とす普通の回路の方が出力が2倍ほど出るし、自由奔放な音質だったと思う。うん、普通の回路に戻そう!
11月10日
11月に入って久しぶりに本格的な雨。
某中古通販サイトで以前から気になっていたソニーのパワーアンプTA-N330ESがまあまあの値段で売りに出ていたので何気なくポチリ。
サイドウッドのMDFの角が崩れていたのでパテで修正。かなりきれいな個体。お気に入りのPD-T06改を鳴らしたらどんなんだろうと思い、聴いてみた。はっきり言って、私はもう、真空管アンプを作るのをやめようかと思った。それほど非の打ち所がない。ソースの音をそのまま表現している。何も足さない、何も引かない音とはこういう音なんだと思う。この音を聴いて今まで作ってきた真空管アンプの音を思い返すと、何かを足して何かを引いた音なんだと気が付く。でも、まあ私は無名な真空管でアンプにしたらどんな音が出るんだろうと、半ば好奇心でアンプを作ってきたから、これからはTA-N330ESの音をリファレンスにして、夫々の真空管の醸し出す音を楽しめばいいんだと思う。それにしてもこのアンプで直結でPD-T06改の音を聴くと、素晴らしい!癖を全く感じない。いいプレーヤーとアンプである。
10月31日
今日はPD-T06改(改良型)、CDP-337ESD、CDX-2200で久しぶりにピアノソロを聴いてみた。国府弘子のpiano tapestry。
ピアノはPD-T06改で再生するのがいい。比較的小さな音で聴くと、ピアノの響きが創る音場の機種ごとの違いが良くわかる。音場が乏しいと聴き込めない。PD-T06改は小さな音量でも音場に引き込まれる。また、高い音が刺激的にならない。かといって解像度も十分ある。1ビットゆえの滑らかさだと思う。CDX-2200でさえ、高い音が刺激的になるというのに。あと、アリス紗良オットのFranzLisztのラ.カンパネラ。特に良く聞こえる。ピンピン高い音がたくさん入るがとてもやさしく聞こえる。ピアノの弦を叩くハンマーがフェルトを貼った木槌であることを実感させてくれる。また解像度があり迫力もある。1ビットとマルチビットの違いだと思う。マルチビット機だとピアノのハンマーが金属かと思わせる時がある。ソニーのCDP-337ESDも最初はいい音だと思ったが、良く聴くと音が平面的であることが分かる。某 オーディオメーカー のHPで555ESDの出力波形を測定していて、基本波形に高周波が載っているグラフが載っていて、バタワース型のローパスフィルターを掛けるとその高周波が除かれて劇的に音質が改善されるとのことで、恐らく337ESDやほかのマルチビットでも程度の違いこそあれ出力に高周波が載っていると思われる。PD-T06改ではこのような高周波が少ないのかもしれない。丁度CDの音とレコードの音くらいの違いがあるように感じる。
そう、レコードとCD再生音の違い。レコードは当たり前だが全体域で滑らかで自然。CDマルチビット機では高い音はきつくなり、低音は100~40Hzくらいは豊かに聞こえる。これがレコードとマルチビット機の低音の違いで、同じタイトルをマルチビット機とレコードで聴き比べるとマルチビット機の方が低音が前に出てくる(出すぎている?高周波が重畳されているので音がささくれ立って耳に付くのかも!)。ひょっとしてマルチビット機は不自然なのかもしれない。PD-T06改 は低音再生までレコードに似ている。ただし、レコードもPD-T06改 もちゃんと20Hz辺りまで高い音圧で再生している(アルテック416-8Cの再生限界)。クラシックも聴き込んでみたが、音場再生までレコードに似ていて、演奏の場が再現されていることが分かる。1ビットのCDプレーヤーは低音が出ないなんて言ううわさもあるが、恐らくマルチビットのささくれだった低音に慣れてしまった耳の言うことだと思う。スピーカー工房やっていて良い喩えが浮んだ。マルチビット機の低音はスピーカーに例えるなら、バスレフで無理やり40Hzくらいまで低音を引き延ばした音。やたら低音の音圧は高いが押しつけがましい低音、そのくせ40Hz以下はほとんど出ない。もちろんマルチビット高級機はこの傾向は緩和されている。一方PD-T06改 は開放型の大口径システムの低音。100Hz以下はほとんどだら下がりだが癖が無く、ちゃんと20Hz辺りまで音圧を保っている。そういう音だ。ずっと聴いていても疲れない音。どちらの音が音楽再生に向いているか?それはジャンルによる。ロックなどの音圧に圧倒されたい音楽はマルチビット、比較的静か、ボーカル、あるいは楽器の音を忠実に聴きたいならPD-T06改 だなあ。
10月27日
今回の試聴ではTechnicsSL-P770&ヤマハCDX-2200とも比較試聴した。SL-P770は全帯域に渡る解像度の高さ、音のつながりの良さが際立つ、ただし、超低域での空気感が控えめ。普通のシステムで聴くには全く問題ないレベルだが。CDX-2200は年代が古い所為か、P770に比べればおとなしい音質、だが低音域での空気感がしっかり出ている。PD-T06改良型では解像度では語れない滑らかさと超低域での再生能力と空気感、音場感が素晴らしい。いずれのCDプレーヤーも味がある。多士済々である。
ちなみにPD-T06の光出力をFX-05J改良型でアナログ変換して聴くと、ほぼSL-P770と同じ音質である。P770よりも若干低音が良く出る。しかしT06改良型アナログと比べると40Hz以下辺りの音圧が足りない感じ。Amanda MacbroomのMidnightMatinee8曲目を聴くとよくわかる。ただ全体のバランスで聴くと、どちらも味がある。PD-T06改良型の特徴の一つは超低音の再生能力が高いことである。
で、もう一枚聴いてみた。
文句無しにすごい!部屋中の空気が振動して太鼓のステージを体感できる。ハッとする音を聴ける。ビクッとする。
諏訪太鼓、曩祖会 鬼太鼓座の持ち味を堪能できる。特に曩祖会、迫ってくる恐ろしさを体感できる。
自分が持っているCDプレーヤーの中で一番太鼓らしい音場を再現できると思う。
10月26日
パイオニアPD-T06改良型の音質を確かめるべく、PD-T06改良型⇒MOGAMI3368ケーブル⇒パッシブプリ⇒6EW7シングル⇒アルテックで音質を確認してみた。聴いたソースは今までパッとしなかったCD Laurent Fickelson Trio [Secret Mood]。2000年頃だったか、新しいJazzを聴け!という本で紹介されていて買ってみたが、ホコリっぽい音であまりぱっとしなかった。なんで紹介されたんだろうと不思議に思っていたCDである。ちなみにそのころ使っていたCDプレーヤーはDENONのDCD-S10Ⅲであった。
早速試聴である。聴いてびっくり!以前聴いていた埃っぽさはどこへやら。くっきりはっきり。ピアノの細かな音の震えが見えるよう。それから空気感のあるベース!こんな音が入っていたなんて、今まで気が付かなかった。CDX-2200でさえ、こんなエアリーな低音は出ない。それから音が滑らか。音が広がり、心地よい音場を形成している。先に挙げた接続装置すべてが力を合わせてこの音場を作っていることが分かる。すべてがその役割を果たしている。CDプレーヤーはCDに刻まれている信号を何も足さず何も引かず正確に送る。RCAケーブルは??、アンプも然り!スピーカーも然り!CDに刻まれた音場がそのまま再現されている。それにしてもこのCDの中にJazzステージがそのまま記録されていることが手に取るようにわかるのである。アタック感がすごい!ぶっ飛ばされそうだ!本で紹介された訳が分かった。
ということで、PD-T06改良型は我が家のCDプレーヤーの一員になることが決定した。オリジナルのPD-T06も控え選手でとっておくことにした。だって、2台で3万円しないから。いざとなったらオリジナル機も改良して聴くことにする。家に来たときはまともに再生できず、調整で壊れて、気を取り直してピックアップ&サーボ調整、音が悪くて改良、長い道のりだった。でも面白かった。
最後に腑に落ちないことがある。回路図を眺めてみたけど、どこにもLegart Link Conversionの回路が無い。DACに内蔵されているということか。でもPD-T07AはPD-T06と同じDAC(PD2028B)を使っているのにT06だけLegartLinkが付いている。変だ。回路図をよく見ると、PD-T09にはデジタルフィルターが自社製のPD0116Aが使われているのにT07AにはNPC社製SM5813APが使われている。ということはこのデジタルフィルターPD0116AにLegartLinkConversionが搭載されていることになる。ネットで調べるとやはりそのようだ。安心した。
10月21日
秋も深まり、庭のヤマザクラはほぼ落葉、ブルーベリーの紅葉がきれいだ。
PD-T06はオプティカル出力で何とか使えるようになったが、アナログ出力はCDX-2200と聴き比べると透明度が今一歩。それで以前LTspiceで分かったコンデンサーC3(回路図ではC566&567)の交換を行った。そもそもこのコンデンサーで周波数特性が劇的に変化するということは、このコンデンサーはもろに信号に影響を与えるということで、いいものを使う必要があるということだ。それで3000pF(3nF)のディップマイカを探してみた。ヤフオクでゲット!早速交換してみた。
でかいチョコレートがそれ、んまそ! 右の写真の右側がオリジナル、豆粒以下!左がディップマイカ、ずっしり重い! で、音出し
for Jazz Audio Fans Only Vol.14の一曲目。遠くでしゃらーんと鳴るシンバルが浮き出て聴こえるようになった。改造前はピアノとベースに隠れてほとんど聞こえなかったのに。全体に透明度が高く引き締まった音質になった。これはまさしく高級機の音質。それにしても、コンデンサーで明らかに音質が変わったのはこのディップマイカが初めてだと思う。
PD-T06をめぐっては色々な要素が加わって音質が悪くなっていたことが分かった。1ビットPulseFlowDAコンバーターを評価する前に、アナログ回路がかなり悪いものであった。アナログ回路はオペアンプで簡単に済ますことができるという思い込みがあったのではないか。オペアンプという安易な選択が不幸の始まりだったと思う。アナログ回路にオペアンプを使うなんて、入門機に使うデバイスである。でもパイオニアは1989年以前のCDプレーヤーの高級機でも一個100円しないオペアンプを堂々と使っている。他社であれば高級機はアナログ回路はディスクリートで組んでいた。なぜパイオニアはアナログ回路をないがしろにしたのか?そこがオーディオメーカーの技術者の腕の見せどころではないか?しかも使っているオペアンプは大量仕入れであれば一個数十円で購入できるものである。コンデンサーも然り。なぜもっと高級品を使わなかったのか。恐らくこの製品群が発売されたころはバブルがはじけたころで、オーディオメーカーはコスト削減に躍起になっていたはずである。そのあおりを食ったとしか思えない。36万円もするPD-T09までもが同じアナログ回路とは情けない限りである。ここまで考えてくると、これはもう、パイオニアの当時の管理職、経営陣の考え方が透けて見えてくる。残念だ。気を取り直してせめてオペアンプをHiFiグレードのNJM2114DDに変更、気休めにその電源を安定する電解コンデンサーにMUSEを奢り、カップリングコンデンサーにもHiFi用のNP電解コンデンサーを用いた。ここまではオペアンプの変更による穏やかな音質の変化であった。とどめは今回の音質調整用のフィルムコンデンサーのディップマイカコンデンサーへの変更である。これで劇的に音質が改善した。
また、ここにたどり着くまで、いくつかの気づきがあった。まず、CDプレーヤーを評価するために用いたプリアンプである、以前にもつまづいたことがあるが、最初C-200Lを使ってしまっていた。このプリアンプはつなぐものの相性があり、低音が出なくなる場合がある。まず、これでPD-T06に低音が出ないレッテルを貼ってしまった。ところが、6R-A6PPアンプに直結したところ、気になるほどの低音の音圧低下はないことが分かった。代わりにCDX-2200に比べて音の透明度が悪いことに気が付いた。それを改善するためにどうしたらいいんだろうとLTspiceでの解析を行い、周波数特性に影響を及ぼすコンデンサーの存在が明らかになった。オリジナルではそのコンデンサーによくわからないちっぽけなフィルムコンデンサーが使ってあった。これがすべての元凶であった。
というわけで、音質を良くするのはかなり骨が折れる、が、やり遂げた後の達成感は大きい。手塩にかけたPD-T06がいとおしい。オリジナルのPD-T06もあるので比較することができる。オリジナルはやっぱり歪っぽく、きつい音質であることが分かる。改造は改良であったことがよくわかる。音質に影響しないと思っていたRCAケーブルも、唯一モガミ3368が音質に色があることが分かり、とても有意義であった。
10月15日
昨日は晴れで外出、今日は雨。絶好の工作日和だ。
FX-05Jの音質に不満はなかったが、使われているオペアンプとカップリングコンデンサーに改善の余地がありそうだったので検討、改造してみた。まずオペアンプ。J-FET入力のTL062が使われている。調べてみるとこれは超低消費電力とのことで、音質的にメリットのある型番ではない。ただ、この型番用に設計された電源であることを留意して音質的にメリットのある型番を探す必要がある。またJ-FET入力である点にも留意する。これは入力インピーダンスが高い。バイポーラ型だと入力インピーダンスが低いため、前段のDACの信号を受け取るに支障が出ることが考えられる。また、PD-T06につないで聴いた時の印象では高域を改善したい。これらから人気のある(お高い?)MUSEシリーズはパス(低域重視のため)。入手とお値段から同じシリーズのTL-072CP(90円)に変更することにした。この型番はひずみが少ない、帯域が広い特徴を持つ。次にカップリングコンデンサー。オリジナルはメーカー不明の10μF16VNP電解コンデンサー。さすがに不安なので、手持ちのニチコンMUSE33μF25VNP電解コンデンサーに交換した。直径高さともにぎりぎりでケースに納まった。ケース寄りのコンデンサーはぎりぎりなので気を付けた。電源はLiBである。
音質は狙い通り、全体域で解像度が増して、歪感が減ってクリアな音質。例えばAmanda McbroomのMidnightMatinee の2曲目。PD-T06のアナログ出力では音浴に浸れなかったが、光出力を改造FX-05Jで受けて差動増幅1段6RA6PP無帰還アンプで聴いたところ、今まで聴いたこともないような柔らかなボーカルがゆったりとした低音のお風呂に浮かんでいる。自分まで空中に浮かんでいるようだ。 FX-AUDIOの機器はお安くて高音質、おまけに手を入れやすい。使わない手はない。
ラインケーブル
こんなケーブルで音が変わるわけがないと思っていたが、CDプレーヤーパイオニアPD-T06の音質を検証中に低容量ケーブルでアンプにつないだら若干低音の量感が改善したので、だったら極端に低容量のケーブル使ったらどうだろうと。MOGAMI3368ケーブルは超低容量をうたっているギターケーブル。サウンドハウスでケーブルとRCAプラグを調達、ラインケーブルを組み立て音質を確かめてみた。
びっくりした。今まで低音がプアだったのに低音ダブダブになってしまった。しかしこのケーブルは音質を調整するのに使える。芯線はかなり太いOFC線。実に頼もしい。90㎝で容量75pF、60cmで55pFで、TEACのsuper low capacitanceケーブル(1.5m)の容量77pFからすると容量は大きい。モガミのケーブルで2534という品種も入手してみたら、これは4芯で、つなぎ方に困った。ネットで調べると、4芯全部束ねて+として、シールドを-とするつなぎ方があったが、これは350pF@1.5mであった。半透明2本を-、青線2本を+とする(シールドはつながない)と容量は175pF@1.5mであったので、このつなぎ方で1セット造った。音質は普通。ついでに私の標準のケーブル、サウンドハウスのクラシックプロは面白い。左は100pF@1mなのに右(赤)は175pFである。何本かあるがすべて右の容量が大きい。容量は少なめであることが分かりホッとした。
10月12日
パイオニアPD-T06はドライブメカがとても素晴らしいので、もういっそDAC以降を使わない、つまりCDトランスポートとして使うことを考えて、DAコンバーターにFX-AUDIOのFX-05Jを繋いで鳴らしてみた。今まで悩んだのがウソみたいにいい音になった。30年前のパイオニアは技術が無くてずいぶん悩みながら商品化したんだろうなあ。今なら4000円ほどでこんなDA回路が手に入るんだから。バカみたいだなあ! 1991~1995年の間、パイオニアのCDプレーヤーは自社開発のサイテーな「PULSEFLOW」DAコンバーターPD2028A&Bを使い続け、業界サイテーの音質を世界中の善良な民に提供してきたわけだ。他のDACを使っていればはるかに評価が高くなっただろうに。残念だ。1995年以降も24bitDACとか自社開発にこだわっているから音質には期待できない。パイオニアのCDプレーヤーを聴くなら1989年までだな。
あと、長岡鉄男のFMファンダイナミックテスト大賞1987年大賞をとったTechnicsのSL-P770動作品リモコン付きをヤフオクで入手。とても自然。この機種はDACにBBのPCM56Pを片チャン2個、合計4個使っている。「4DAC18Bit」 そのためか、ヤマハのCDX-2200並にいい音。テレビでTechnicsがCMやってた時、CM最後の誇らしげなフレーズを思い出す。「てくに~くすぅ!」ほかの装置も聴きたくなった。
10月2日7日
10月に入った。昨日はずっと雨で、PD-T06の低音レベルが低いわけを探っていた。1ビットDAコンバーターの出力をローパスフィルターを兼ねたバッファー&デエンファシス回路を通して出力するだけのとても簡単なアナログ回路なので、LTspiceで周波数特性を解析してみようと思う。デエンファシスがうまくいっていない気がする。低音を持ち上げるための回路定数が分かれば改造してみたい。低音のレベルは低いものの、音質がいいだけになんとかしたい。
LTspiceを使うためにはオペアンプNJM5532のモデルが必要だが、互換品NE5532で代用できる。調べているうちに、真空管のモデルまであることが分かり、もう何でもシミュレーションできてしまう。そのうち作ったアンプの特性もシミュレーションしてみる予定。
早速DAC(PULSEFLOW D/Aコンバーター)後にあるアナログ回路を描いてみた。
実際の回路ではこの後にMuting回路があるのだが、音色に関わる部品はないので省略している。
このまま周波数特性を計算すると↓、やっぱり高域がかなり盛り上がっている。これがパイオニアトーンか?
さわやかな、清々しい音質??
ここでDEMP(デエンファシス)をON(R10の1MΩを1Ωにする)と 、
昔のCDにはレコードのように高域を持ち上げて録音して、再生時にデエンファシスをかけてノイズを減らしたものがあったとのことで、当時のCDプレーヤーには搭載されている。EMPの掛かったCDは自動でDEMPモードで再生している。
次にDEMPをOFFにして、C3を0.0056μF⇒0.003μF(3nF)に変更するとフラットな周波数特性となる。
部品が手に入ったら変更してみたい。
9月30日
今日はきれいに秋晴れ、実にすがすがしい。お休みなのでオリジナルと改良したPD-T06の音質をFMファンダイナミック大賞の大賞を受賞したパナソニックSL-PS840と聴き比べしてみた。SL-PS840は低音が自然に広がり、容易に低音のお風呂に一杯いっぱい浸り切ることができる。ちなみに試聴に用いたCDは山本剛さんの「Misty」一曲目の「Misty」。
さて、PD-T06である。オリジナルではまずベースの音圧が低く、ゆったりとしたメロディーに乗り切れない。ピアノの叩きつける音が強く不自然。プリアンプのC-200Lで低音(200Hz)を目一杯(+7.5dB)持ち上げてもPS840レベルにならない。次にT06のコンデンサーとオペアンプを交換した改良品である。こちらはオリジナルに比べて高音が透き通っていて、ピアノの叩きつけるような音でもサラサラに聴ける。ただし、低音はオリジナルと同様に音圧が低く、低音を目いっぱい持ち上げてもダメ。
ということで、PD-2000から始まったパイオニア騒動はこれでおしまい。PD-T06は、しばらくは手元に置いておくと思うが、いずれ手放す予定。どうもパイオニアは自社開発の1ビットDACを搭載してからパイオニアトーンが付いてしまい、ハイファイでなくなった模様。ただし1ビット初期のT07やT05にはフィリップスのDACが載っていてとても良い音質とのこと。一度聴いてみたいが、なんだかガッカリしすぎて気が抜けてしまった。思い返すと、20年ほど前にPD-T09(定価36万円)を当時8万円で譲ってくれた彼は、恐らく超絶低音が出ないT09(回路はT06改良品と同じ)にガッカリして、破格で売ってくれたんだと思う。彼のタンノイアーデンなら容易に気が付いたんだと思う。
この騒動の最中にメインシステムに組み込んであったヤマハCDX-2200が再生時に音飛びや再生終了が頻繁に起こるようになったので、優秀なSL-PS840をメインシステムに据えることになった。定価49800円だが、安定していい音聴かせてくれる。
9月25日
本日PD-T06アナログ回路改造用の部品がすべてそろったので、放課後に交換してみた。
無極性電解コンはドイツのFROLYT EKSU というオーディオ用100μF50V、ニチコンMUSE33μF25V。オペアンプの電源用電解コンはニチコンMUSE330μF50V(結構でかい!)。あと一番の改造はT09に使われているオペアンプJRCのNJM2114DDに交換した。抵抗も2本、回路図と異なるものがあったが、MUTE回路内であったので音質には影響しないと判断してそのままにしてある。あと、なぜか回路図にはない、RCA出力直前にセラミックコンデンサ100pFがアースとの間に入っていたので取り除いた。ちなみに交換した古いコンデンサーはどれも容量抜けや液漏れはなかった。
ちゃんと音が出た、音質は?
メインシステム(アンプはCECのAMP5300R、スピーカーはアルテックシステム)で聴いている。明らかに音の透明度が上がった。まるで新品で聴いているよう。きめ細かなシルキーな中高音、粒立ちが見えるベース音。なぜかT06はオペアンプ直後のFETがT09と同じ2SK364&2SJ104で、オペアンプはT07やT05と同じNJM5532DDである。オペアンプをNJM2114DDにすればアナログ回路はほぼT09と同じになるのである。T07を飛び越えてT09(36万円!)の音質が手に入った!めでたしめでたし。ちなみに、大太鼓、家中が振動しする。しかも振動の粒立ちまで聴こえる。襲い掛かってくるような迫力がある。これでオリジナルとT09同等品の2台持ちとなった。今回の改造で1000円かからなかった。かなりのコストパフォーマンスである。
9月22日
低音が出ないPD-T06の回路チェックを行った。T06そのものの回路図は手に入らないが、T05やT07、T09の回路図は手に入った。全部比較したが、T06の現物回路に使ってある無極性電解コンの容量が半分しかない。これはカップリングコンデンサーで、もろに音が通過する。しかも出口の抵抗とともにローカットフィルターを形成している。もし経年劣化で容量が低下していれば低音レベルが低下する。他に再終段のトランジスタ周りの抵抗値が半分のものが2つあった。恐らくこの辺りで上位機種に対して音質を落としていると考えられる。これが厚みのない、「さわやか」な音質を作っているのであろう。もちろんこの抵抗もT07、T09と同じにする。最上位機のT09にはオペアンプにJRCのNJM2114Dを使ってあることが分かった。これはT05,T06とT07に使われているNJM5532DDの低歪みVersionとのことである。これもNJM2114DD(秋月電子)に交換する予定。どんな音色になるか楽しみだ。ざっと兄弟機の回路図を見比べてみたが、特にT06、T07、T09のオーディオ回路は同じであり、部品、特に音が通過するコンデンサーをオーディオグレードの新品に交換すれば何らかの変化は期待できる。楽しみだ。
9月20日
手塩にかけて調整したPD-T06、フロントパネルの長年こびりついた垢をきれいにふき取ってさあCDP-337ESDと聴き比べ。アマンダマックブルームの「ミッドナイトマティーニ」。PD-T06だとボーカルがヒステリックになるところがある。低音が薄く、本来なら低音のお風呂にどっぷり漬かれるはずなのだが、お風呂が浅い。薄い低音。一方、337ESDではボーカルはしっとりしなやか、歌声に潤いを感じる。それをたっぷりとした低音が包む。まるで天国での歌声に聴こえる。愕然とした。手をかけて、調整している間T06の音ばかり聴いていたので耳がばかになっていた。パイオニアはこれで終わりにしよう。次はソニーの固定ピックアップ方式を聴いてみようかな。
気を取り直してオフモールで購入したT06を聴いてみた。こちらは低音はほど良く出ていてボーカルもヒステリックになることはない。音の広がりは素晴らしい。ということは調整したほうだけが音が悪いことが分かった。この機種はオーディオ回路の電解コンデンサーはNormal品を使ってあるのでオーディオグレードに換えてみようかな。
9月16日
9月中旬過ぎだというのにまるで夏のような蒸し暑さ。同じようにオーディオへの探求心はまだまだ冷めない。PD-2000の故障から始まり、PD-2000のジャンクを購入して、故障機からレンズを移植して復活。同じドライブを持つPD-717ジャンクを購入、治らなくて動作品のPD-717を購入して音質の悪さにガッカリしていた。そんな中で長岡鉄男のFMファンダイナミック大賞の1993年CDプレーヤー部門で優秀賞を頂いたPD-T06が目に留まった。以前、長兄のPD-T09(1991年ダイナミック大賞の大賞受賞)を持っていたが、ほかの装置が悪すぎて悪い印象しかなかった。もう一度ターンテーブル方式の音質を確かめたくて、ヤフオクで一応再生できるが音飛びが激しい個体を1万円程で落札、ネットでサービスマニュアル(海外しかなくてPD-75(PD-T07)用のもの)をたよりに調整していた。トラッキング、フォーカス、RFのオフセットはテスターで行えたが、フォーカスゲインやトラッキングゲインは発振器とオシロが必要。何とかそろえて調整を始めたが、信号が出ないので、CDを再生しながら調整かな?なんて軽い気持ちでやったのがいけなかった。ビー!ビー!ビー!と3連発の異音がした。懲りずにもう一度トライして同じ警笛音。結局諦めたのだが、その後まともに再生できなくなってしまった。いいところまで追い込めていたのに。気を取り直して別の個体を探してみた。ハードオフのオフモールで入荷したてのPD-T06のジャンクを発見。とてもきれいな個体でリモコン取説付き。16500円で迷わず購入。早速開腹。案の定レンズがない。それでPD-2000修復用に買ってあったPD-717のピックアップレンズを外して移植。何事もなかったようにCDを再生できるようになった。
これでやっと音質を確かめられるようになった。この機種の特徴はパイオニア独自の1ビットDACpulseflowコンバーター搭載、レガートリンクコンバージョンを搭載していること、そう、PD-T09の直系の弟分なのだ。PD-T09は所有当時は音の輪郭が甘くてダメダメなんて思ったが、装置がグレードアップした今、その良さがよく分かった。音の輪郭が甘いのではなくて、とげとげしいデジタル臭さが無くて滑らかなのだ。細かな音や奥行き感もよく出ている。そう、multiビットではなくて1ビット、まさしくDSDの音質である。パソコンでCDをリッピング、WAVファイルにしてローランドのAudioGate4でDSDに変換、DS-DAC-10で再生した音に極めて近い。multiビット機の音質のとげとげしい音を生々しさと勘違いしていたことに気づかせてくれる。それにしてもpulse flowとはよく命名したと思う。流れるような音質。multiビットと対極にある音質である。
調整に失敗した個体については、レンズをよく観察したら、スピンドルのCD押さえ面と同じ面にレンズ面があることに気が付き、簡単に外すことができてしまった。恐らくフォーカスゲイン調整時の手違いで振動したピックアップレンズがCD面を叩きつけた時に位置ずれして外れそこなっていた。そのために全くCDを読まなくなっていた。ピックアップのレンズ取り付け面周りを入念にクリーニングして、再度接着した。硬化後CDを読み込んだらスルっと認識、再生できるようになった。ただピックアップを支える金属棒の位置(Radial direction)を調整しなければならない。完全復活が楽しみだ。
追記:早速調整用ターミナルTP1のピン1(RF)にオシロのプローブを当ててアイパターンを観察しながらRadial ajustを調整してアイパターンがはっきり、しかも振幅が大きくなる点に調整したところ、トラック選択でもたついていたのがすっきり解消。Tangential adjustも調整してアイパターンの振幅を最大化した。さらにフォーカスオフセット(VR6)も調整するとアイパターンの振幅を大きくできた。しかし、なぜか最後の方の曲になるとプツっと終わってしまう。CD-Rではちゃんと最後まで再生できる。CDでのアイパターンの電圧は1.8V、CD-Rでの電圧は1.2Vほどで高めであることから、CDでのアイパターンの高い方の電圧をRFレベル調整VR(VR10)で1.5Vに調整した。ちなみに再生面が金の場合には1.8Vほどである。これによりCDでの再生も音飛びがほとんどなくなった。トラッキングバランスのVR5の調整ではTP1のピン4(トラッキングエラー)にオシロを繋いでCDを再生しながらポーズを押す。するとスパイク状の波形が見える。さらにトラックスキップのボタンを押すたびに振幅の大きな波形が出るので、この波形が0Vの上下に均等に表れるようにVR5を調整した。トラッキングゲインとフォーカスゲインはおよそ最初に調整してあった位置にしておいた(リサージュ図形による調整は怖くてできなかった)。これらの調整でかなり音飛びは無くなった。が、傷のあるCDでは外周部のトラック(あとの方の曲目)で音飛びがしていた。なぜだろうと思い、何気なくCDを再生しながらアイパターンを眺めていて気が付いた。アイパターンが周期的に上下に揺れている。あ!、これはCDの回転の周期で揺れているんだ。トレイののぞき窓からCDの外周部の上下の揺れが見える。CDがちゃんとチャッキングされていないとの外周部ではCD面が上下に揺れる、ということはピックアップがCD面にフォーカスするために大忙しである。フォーカス範囲外になると音が飛ぶのである。で、スピンドルモーターのクランプ面に付いていた薄いゴムが一部剥がれていたので両面テープなんて張り付けて、CDに接する面の粘着力を落として代用していたが、思い切って剥がして金属面でCDを抑えるようにした。また、ターンテーブル上に敷いていたお手製のシートも見直して、できるだけCDがうねりなく回転するようにした。したところ、音飛びが無くなった。やっとこの個体も蓋をすることができた。
音質は、後で購入した出来の良い個体と同様に、見通しの良い、滑らかな音質。明らかに高級機の音質。ゆるぎない音質。空間に滑らかな音楽が漂っている、空気感まで伝えてくれる。それを支えるのがゆるぎないドライブユニット、サーボ回路、オーディオ回路。他社にはまねができない。こんなの見たことない。所有する喜びさえ感じる。
PD-T06が発売された1993年はマランツがDAC-7を搭載したCD-72aを発売した年であり、両機は同い歳である。CD-72aの音質は同じ1ビットにも拘らずとんでもないひどい音質で、楽器と楽器の間にあるはずの音像が、無い!従って空気感は皆無。同じ年のしかも同じ1ビットとは思えないのである。ちなみにCD-72aはとっくに売り払った。なぜか買った時より高く売れた。世の中信じられないことだらけだ。PD-T06だって世の中の評判ではいまいちだ。興味があれば自分で確かめるのが一番だ。
9月4日
平日だけど、仕事が終わったころにPD-717のリモコンセンサーの交換用にアマゾンで注文していたIRセンサーが届いた。もともと付いていたセンサーはシャープのGP1U52Xというセンサーモジュールだが、もう35年も前の部品なので当然入手できない。似たようなセンサーモジュールがアマゾンで売っていてVS1838という機種である。5個で600円しなかった。規格表を見比べるとほぼ同じ使い方ができることが分かった。早速フロントパネルを外してパネル基板を取り出し、元のセンサーを外した。VS1838は足の配置がGNDとVCCが逆なので絶縁スリーブを通して交差させて基板にはんだ付け。元通りに組み上げてスイッチオン!このために購入しておいたリモコン(純正ではないCU-PD024)で操作したところ、何の問題もなくスルっと動作した。これで気楽に音楽を聴くことができる。このリモコンはボリュームも調整できる。これで1000円は安い!なお、このリモコンはPD-2000も同様に操作できる。
9月3日
あっという間にもう9月、畑ではレタスなどの高原野菜の収穫に追われている模様。
PD-2000は2300円のジャンク品に壊れたPD-2000のピックアップレンズを移植してとりあえず蘇っていたが、再生できないCD、特に輸入盤があった。それで調整を行った。まず1曲目がうまく再生できていなかったが、レーザー出力を微調整することで再生できるようになった。大事なのは、何でもかんでもレーザー出力を上げないこと。出力を下げると再生できることもあることが分かった。これはトラッキングやフォーカスの調整はレーザー出力に紐づいて行われるものだからだ。それから後半の曲になると音が飛ぶようになる症状があったのでまずはトラッキングバランス(VR5)を微調整、それでも調整しきれないところをトラッキングゲイン(VR4)を微調整することで輸入盤でも問題なく再生できるようになった。ここで大切なのはオフセットVR(トラッキング、フォーカス、RF)は設定値(それぞれ0V,0V,100mV)に設定して動かさないこと。これらのVRは設定値にするためにある。音がぷつぷつと飛んだりノイズが入る場合にはfree run frequency(VR8)を微調整すると治る。これらの調整はPD-717でも同じである。
ちゃんと聴けるようになってメインシステムに組み込んで試聴して分かったことがある。以前聴いていたPD2000はハードオフでの購入で、オーディオ回路の電解コンデンサーがすべてニチコンのGold品に交換してあった。それに比べて今回ジャンクで入手したPD2000のコンデンサーはオリジナル、電解コンデンサーに丁寧にシールドのためか銅箔が巻いてある。音を聴き比べると明らかにオリジナルの方が音がやさしい、音楽的な鳴り方である。ヤマハのCDX-2200もオリジナルコンデンサーの個体を2台、コンデンサーを総交換したものを1個体持っているが、やはりオリジナルコンデンサーの方が自然な鳴り方をしている。音が出ないなどの理由がない限り、できるだけオリジナルのコンデンサーで聴いた方がいいと思う。そうでないとメーカーが創った音質を聴くことができない。
PD-717はPD-2000のドライブユニットと同じものを積んでいるので、PD-2000用のドライブバックアップ用に510円で通電確認済みを手に入れた。電源は入るが動作しない。トレイ状態確認スイッチを掃除したらトレイは開け閉めできるようになった。しかしレンズが取れていて、元の位置にはめて動作させてもCDを読み込まない。よく見ると動作時の振動でレンズが傾いている。レンズは接着しないとだめである。レンズを元の位置に接着しても読み込まない。スマホで確認するとレーザーは生きている。まさしくPD-2000用の部品取りである。でも、デザインはとても良く、凛々しい。何とか音を聞いてみたい。B級オーディオによれば、DACはアナログデバイセスのAD1860Nとのことで、今まで聴いたことがない。音質はひどいらしいが。それで動作品を6000円で落札。
で、折角なので内部のトラッキング、フォーカスなどのVRの回転角をそのままジャンクのPD717のVR回転角に写し取って少しレーザーパワーVRを触ったらするっとCDを読み込んだのである。でジャンクから脱却、動作品PD-717が2台になった。ただし、初めから動作品だった個体はリモコンが利かない。どうもIRセンサーが死んでいるようなので修理する予定である。
肝心なPD-717の音質だが、ちょっと聴いたところだと結構よく感じたが、聴き込むとちょうどMP3やWMAで圧縮したような音質であることがよく分かった。明らかにPD-2000の方が良い。値段が33000円違うが、その差は十分にある。デザインがいいだけに残念である。
8月16日
気を取り直してPD-2000について考えてみた。ご臨終のPD-2000はピックアップからの発光が見られず、明らかにお前はもう、死んでいる。ならば部品取りでピックアップレンズをジャンク品に取り付けてみたら?と考えてみた。一方ジャンク品の症状はひどい。電源を入れてイジェクトボタンを押してもトレイ駆動用のモーターが回らない。ベルト交換以前の問題。そこでトレイの状態を検知するスイッチの動作を確認(トレイ位置でのスイッチ導通確認)すると、閉じても開いても導通が無い。ということはこのスイッチを掃除すると治るかもしれない。ドライブを分解して駆動モーター奥にあるスイッチ接点を2000番のサンドペーパーで磨き、接点復活油を塗っておいた。くみ上げてイジェクトボタンを押すと、なんとちゃんとトレイが出てきた。前の蓋が重くて途中で止まるが、よく見ると駆動ベルトが伸びて空回りしている。これはベルトを取り替えれば治る。CDを入れてみると、CDが回らない。そこで死んだPD-2000のピックアップレンズを外し(このときなかなか外れず、レンズの縁を欠いてしまったが)、移植してみた。CD抑えを外してプレイボタンを押してすかさずスマホで光を確認したところ、ちゃんと発光していることが分かった。CD抑えを元に戻してCDをセットしたところ、なんと、CDが回り始めた。プレイボタンを押すと、再生が始まり、最後まで再生できるようになった。2300円のジャンクは無駄ではなかった。
ちゃんと調整しようと思い、ネットからPD71(PD-2000の海外名)のサービスマニュアルをダウンロードしてみたが、ちゃんと調整するには2CHのオシロスコープと高価なTEST用CDが必要とのことで、とりあえずはtestモードでテスターでVR7(tracking offset),VR6(focus offset),VR2(RF offset)を設定値として、あとはVR5(tracking balance)をヒアリングで調整した。
8月15日
8月に入ったと思ったらあっという間にお盆。亡き母の初盆に行ってきた。いつになく暑い夏を感じた。
久しぶりにPD-2000を聴きたくなって引っ張り出してきてCDを入れたが認識しない。ふたを開けてCD抑えを外してプレイボタンを押してみるとピックアップレンズが上下に動いているが、同時にスマホで光出力を確認しても光っていない。どうもレーザーがご臨終のようだ。早速ジャンクのPD-2000を2300円で落札してみた。届いてご開腹。なんとピックアップレンズが付いていない。これもレーザー出力を確認できなかった。途方に暮れてB級オーディオの長岡鉄男FMfanダイナミック大賞CD部門を眺めていて目に入った機種がある。パナソニックSL-PS840である。PS700は1990年FMfanダイナミック大賞の大賞をもらった機種なので手に入れていたが、なんと1992年にもう一台、アドバンストMASHのPS840という機種が大賞をもらっていた。早速ネットで調べたところ、アマゾンで完動品で売りに出ていて早速購入した。
このCDプレーヤーの音質、素晴らしい。全く癖を感じない。音楽だけが浮かんでいる。Vertural Battery OperationとクラスAA出力回路のなせる業なのか、アドバンストMASHの所為なのか?信じられないが、私の持っているCDプレーヤーでもトップクラスである。透明、伸びやか、しなやか、歯切れの良い音質。
7月1日
ずっと気に掛かっていた事がある。6CW5全段差動増幅プッシュプルアンプの電流バランスがちゃんと取れていない。球を15本ほど買ってみたけれど、ちゃんとペアを組めていない。それでEL34と同様にペア球のカソードを直結でなくて100オームの巻き線VRでつないで、中点に抵抗180Ωを介して定電流源ICにつなぐ改造を行ってみた。180Ω両端での電圧が14.4V(電流80mA) になるように定電流源ICの電流を調整した。次に、出力トランスのP1-P2端子にそれぞれテスターの+棒、-棒を当てて電圧が320mVになるように追加したVRで調整した。出力トランスの1次巻き線抵抗はP1側が8Ωだけ大きいので、ここに40mA流れればP1側が320mVだけ電圧が高くなるからだ。両チャンネルともばっちり調整できた。写真のアンプ上面に武骨に出ているのがVRの調整軸。
これで、水橋孝&田中裕士さんのMr.Boujanglesを聴いたら、すばらしい!調整前に比べて驚くほど音質が柔らかく、ベースの伸びがとても自然、空気の振動までも再現する。PP電流バランスは低音だけに効くかと思ったら大間違い。これが出力トランスの直流磁化から解放された音質なのだ。電流バランスが取れていないとトランスの透磁が偏り、通過信号がつぶれるわけだ。アンプは造りっ放しは良くない理由がよく分かった。しっかり調整されたアンプは音楽を正確に再現できる。
2023年6月6日
6EW7シングルアンプ、とても音質がいいのでシルバニア以外の銘柄で音質の違いを体感したくてヤフオクで出品されていたレイセオン6EW7を落札した。made in Japanと印刷してあるので日本のどこかのメーカーだと思い、よく見るとガラスに合わせ目が目立つ。真空管試験機で点灯するとヒーター電流が5%ほど多いところから、松下(ナショナル)製と思われる。でアンプに組み込んでunit2のカソード抵抗(1KΩ)間の電圧を調べると、2本で大きく異なり、36Vと26Vであった。単純に36mAと26mAに読み替えることができる。真空管試験機ではバイアス-30V@プレート電圧200Vで電流値が26mAと3mAであった。データ集ではこの条件で30mA流れるはずである。出品者に問い合わせたところ、40~50年前のNOS品はエージングが必要なことがあるので数時間~2日ほどアンプに装着してエージングしてみてくださいとのこと、早速アンプに差して2時間、カソード抵抗間の電圧を測定して驚いた。なんと2本揃って35Vとなっていた。長いこと真空管と付き合ってきたが、こんな現象は初めて、いや、ひょっとして1度測定して電流が他より流れないとしてはねだしていた球がひょっとして同じようなエージングでよみがえるかもしれない。とても良い経験をした。で、音出しして、レイセオン(松下のOEM)6EW7の音質を確かめた。
心なしか、音質がクリア、低音もクリア、ダンピング良く深遠な響き。しびれたあ~!
思うに、確かに40~50年も放置された真空管の中では、ゲッター金属などの蒸気がカソード、グリッド、プレート表面に析出して膜になっているよなあ、それがヒーターで加熱されて金属不純物が再び蒸気になって剥がれて元の状態になる、さもありなん、だね。
2023年6月4日
娘婿が誘ってくれて5月27日に塩尻のレザンホールでJapanJazzコンサートに行ってきた。
JapanJazzコンサート
Bassの水橋GON孝さんはなんと!80歳。ピアノの山本剛さん、アルトサックスの大友さんも70歳代、ドラムスの江藤良人さんだけが50歳。まさしくJapanJazzのレジェンドたち。ステージの始まりで江藤良人さんのドラムスを聴いて乗りの良い、パシっと聴衆までダイレクトに届く歯切れのいいばちさばきが耳に突き刺さる。ステージから4列目ということもあるかもしれないが。ビジュアル的にもステージに引き込まれる。ベースの水橋さんの指裁き、年季を感じさせる。ステージの全員が和気あいあいでツーカーの仲。それが音楽に出ている。ノリが良くてリズムがいい。水橋さんがまとめ役で、ドラムスがメトロノームよろしくリズムを刻む。寺島靖国Presents作品のJazzではなかなか味わえない、人間味さえ感じるJapanJazz!周りの席では涙して聴いている聴衆がちらほら。CDの販売を行っていたが、家内の都合で終了後即座に帰宅した。家でネットで検索して、山本剛さんのCDを5枚、水橋孝さんのCDを4枚、江藤良人さんのCDを4枚購入。どれもすばらしい。寺島さんのCDを買っておけばいいと思った私がばかだった。JapanJazz万歳!そして、コンサート会場の雰囲気をそのまま再現してくれる私のシステム、改めて見直したよ!
2023年5月10日12日
5月連休は来シーズンの薪の手当てで大変忙しく、オーディオからは遠ざかっていた。でも、飾ってある6EW7の美しい姿が目に入って、急に聴きたくなってしまった。どうせ聴くならアンプセレクターを通さずにスピーカー直結で、ついでに大分前にプロケーブルさんから購入したWE14GA(今でも売っている模様)3m×2で聴いてみた。そしたら、以前感じた低音不足はどこへやら、全然問題ない。とても透明度が高く、EL34PPアンプ以上に空気感が出る。回路がシンプルなためなのか、あるいはスピーカーケーブルのなせる業なのか、今度はEL34PPにWE14GAを繋いで鳴らしてみたい。プロケーブルさんのHPみたら、私がダメだと評価したWE16GAの方が値段が2倍以上していて、おまけにユーザーの評価がめちゃくちゃ高かったので、ホントかなと思って廃ケーブル箱から3mのWE16GAを引っ張り出してきて繋ぎ変えてみたら、やっぱり埃っぽい音で、WE14GAでは滑らかで奥行きを感じた音楽が、まるでMP3のソースを聴いているように平べったいヒステリックな音になってしまう。なので私はWE16GAを使わない。
2023年4月13日
全段差動PPアンプで、カソード間に3W100オームの電流バランサーを挿入したのでEL34を再び差し込んで、PPの電流バランスをしっかりとってみた。UL接続で動作させるとプレートの穴から内側で青く放電しているのが見える!
音質はもう本当に癖が無く、アンプの存在が消える。癖のある装置が手に取るようにわかる。そのため、10数台持っているCDプレーヤーの良し悪しがよくわかるようになった。周波数特性よりも、楽器同士が作る音場が形成されるかどうか。良くないCDプレーヤーはそれぞれの楽器の音だけがして、それらの間に漂う雰囲気が無い。それが手に取るようにわかる。いくつか処分しなければならないものが出てきた。
2023年3月24日
本日は、限りなく新品に近いロシアのリフレクター工場製の6L6GTに差し替えて、PP電流バランスをばっちりとって鳴らしてみた。4本とも素晴らしいグロー放電!古い6L6GTだと青く光らない。新品の証か?
確かに7581Aに比べるととてもなめらかな音質。空気を震度させる超低音もばっちり聴ける。PP電流バランスは超低域の再生能力に明らかに関係している。原理的には当然だが。
Amanda Mcbroomのvoices、定位抜群でほんとにVocalが中央に定位、ステージに立ち尽くすAmandaさんの息遣いが生々しい。CDプレーヤーはCECのCD3800。とてもなめらか、でもメリハリもしっかり。
2023年3月19日
EL34PPアンプの全段差動化に成功したが、手持ちの7581A4本は1ペアはそろっているがもう1ペアはなぜか電流バランスが悪い。何とか鳴らすためにカソード回路にハムバランサーに用いられる100Ω3W巻き線可変抵抗器を挿入。P1-P2間の電圧が120mV(出力トランスの抵抗のアンバランス分の電圧)になるようにVRを調整した。
6L6GCよりもモニター的な鳴り方で、ダンピングが良く締まっているが真空管らしい柔らかくしなやかな音質で、ずっと聞いていても疲れない、音場に浸れる。
2023年3月10日
全段差動増幅化したEL34プッシュプルアンプは6L6G互換なので、以前ダメダメだった東芝6L6GCに差し替えてみた。したところ、以前とは似ても似つかぬ、差動増幅回路ならではの音質を堪能できた。出力はウルトラリニアで14Wなので、EL34よりも出力が大きい。以前引っ込んでいた低音もフラットに良く出ている。見直した。50年前に入手した真空管がこんなに元気で鳴ってくれるのは感動する。
The Cello Acousticsを聴いてみた。オーディオ装置が消え、演奏の音場にどっぷり漬かることができる。CDプレーヤーはケンウッドDP-1100SG→パッシブプリアンプである。
2022年3月8日
オンセミの定電流源IC NSI45090JDT4G(60円@1個) を搭載してEL34全段差動増幅プッシュプルアンプが完成した。とは言っても、初段だけ差動増幅位相反転のEL34プッシュプルアンプを出力段も差動増幅化したけだが。定電流源ICには60x2=120mA流れる。 電力分割用の抵抗180Ω6Wを入れれば(21.6V)、定電流源ICは1W(8.4V)だけ消費するため、ほんのり暖かい程度の発熱となった。気になる出力はデータシートによれば3結で13.5W(3結データ、プレート電圧365V、バイアス-30V時)だが、実測で 12.25Wを確認できた。矩形波は30Hz~10KHzまで波形が崩れることが無い。このレンジで波高値が変化することが無い。音質も素晴らしい。特に低域の解像度は無帰還にも拘らずトランジスタアンプ並みである。ひとつ気が付いたのだが、差動増幅回路にすると、EL34をUL接続にしても出力が上がらない。音質は変わるのか、今後試してみたい。データシートではEL34よりも6L6GCを使った方が出力は上がりそうなので、これも試してみたい。
今、3結でいい音だな、トランジスタと比べてどうだろうと思いAMP5300Rと比較したら、全体に音がやせていることが分かった。それでUL接続に切り替えてびっくり。トランジスタ以上にふくよかで音場が広く、雰囲気のある音質になった。これは差動増幅にする前もそうだったので、音質はそのまま引き継いでいることになる。出力は変わらなくても音質的にUL接続できまり!ちなみに6L6GCではUL接続で14W、3結で7.5Wとなった。
出力段を差動増幅化するのは音質が素晴らしいことが最大のメリットだが、部品が減ることもメリットだ。なにせ高価なオーディオ用バイパスコンデンサーやカソード抵抗がそれぞれ4個いらなくなるから。お財布にも優しいね。
2023年3月5日
もう3月、光陰矢の如し。急かされるような気持ち。無駄なく濃密に生きるためにはどうすればいいんだろう。「頭を使え!」と、大分前に観たドラマの言葉がよみがえる。人生を豊かに幸せに生きる、残された私にできる亡き親への恩返し、なあんて。
で、最近の悩みに真っ向から向き合ってみた。悩みとは、6EW7プッシュプル実現に向けて音質の良い差動増幅にしたいのに、出力ユニットのバイアス電圧が-35Vほどで、前回使ったオンセミの定電流源ICだと、消費電力が35x0.07=2.45Wになり、定格の2.7Wには納まるものの、爆熱が予想される。実際6CW5の差動増幅化では25x0.08=2Wにもかかわらずとんでもない発熱で放熱板を工夫せざるを得なかった。で、「頭を使え!」。電力を分割するための抵抗を定電流源ICに直列に入れればいいじゃん!マニュアルによれば定電流源ICに7.5V印加した時の電流特性が示されているので、ICに7.5V印加する場合を考える。出力管にバイアス35V掛かるとすれば、35-7.5=27.5Vを外付けの直列抵抗(70mA設定の場合393Ω)に持たせればいい。この抵抗の消費電力は1.925Wなので5W程度の規格でOK。これで定電流源ICの消費電力は7.5x0.07=0.525Wでほとんど発熱しなくて済む計算になる。実験で確かめるべく、真空管試験機のバイアス電源で試してみたところ、問題なく機能することが分かった。早速実機で検証すべく、以前制作してIC爆熱の6CW5に適用した。定電流源ICに直列に220Ω3W抵抗を入れたところ、ICには12V程度印加となり穏やかな発熱に抑えられている。この手法を用いれば、以前制作したEL34プッシュプルも定電流源IC(90~160mA)を使って差動増幅化できることになる。早速上位規格の定電流源ICも注文した。楽しみだ!
ここより前の記事はこちらをご覧ください。
2002年9月13日開設Ver1.0